[SM全国ダブル] 北陸三県統一テテフグロス

2017年8月〜11月に行われた石川オフ、福井オフ、富山オフ全てを優勝した構築です。
圧倒的数値を持つメガメタグロスと、相性の良いサイコフィールドを展開できるカプ・テテフを中心に、取り巻きも高種族値でまとめたグッドスタッフ構築となっています。

ポケモン 技1 技2 技3 技4 特性 持ち物
メタグロス アイアンヘッド 思念の頭突き アームハンマー 守る クリアボディ→硬い爪 メタグロスナイト
カプ・テテフ サイコキネシス サイコショック マジカルシャイン ムーンフォース サイコメイカ 拘りスカーフ
サンダー 10万ボルト 熱風 追い風 羽休め 静電気 サイコシード
ランドロス霊獣 岩雪崩 地震 叩き落とす 馬鹿力 威嚇 突撃チョッキ
バンギラス 岩雪崩 噛み砕く 桁繰り 守る 砂起こし アクZ
モロバレル キノコの胞子 怒りの粉 エナジーボール クリアスモッグ 再生力 ウタンの実

■概要■
まず、この構築には一本の軸となるような明確な勝ち筋はありません。
よくある展開として「高い打点を持つカプ・テテフメガメタグロスで相手を崩し、サイコシードで特防の上がったサンダーで詰ませる」といった立ち回りをすることが多いですが、基本的には相手に合わせて有利な場を作りアドバンテージを稼いでいくといった、6世代以降あまり見なくなった所謂スタンダード構築です。

メガメタグロスというポケモンは性質的にこういった高種族値グッドスタッフか雨と組み合わせたビートダウンが強いと考え、自分のプレイスタイルに合っていると感じる前者の形をとりました。
まず、攻撃範囲は被ってしまうものの特性サイコメイカーでメタグロスの火力強化と弱点である不意打ちを無効化できるカプ・テテフ
テテフグロス両方が止まってしまい、下手をすれば詰む可能性の高いテッカグヤや、フィールドを奪いに来るカプ・レヒレに強いサンダー。
炎や地面タイプに強く威嚇を撒ける霊獣ランドロス、の4匹がすぐに決まりました。
以上4匹である程度広い範囲を見ながら強い選出ができるため、残り2匹はここまでで不安な対ギルガルドや雨、トリックルームパーティーを強く意識しつつ、選出に自然に組み込みやすいポケモンを色々試し、最終的にバンギラスモロバレルを選びました。
(これまでの軌跡として、5〜7月頃:メガリザードンYモロバレル、8月頃(石川オフ時点):ヒードラントリトドン、9月前半:サザンドラトリトドン、それ以降は現在の形)

決まった動きはせず、各々のパワーの高さと縦横の並びの柔軟さが売りの構築なので概要はこの程度で、各ポケモンの個別解説と選出・立ち回りが主になります。


■個別解説■
メタグロスメタグロスナイト
★ステータス
159-193-171-x-131-178(メガ後)
・思念の頭突き(フィールド補正)でB120メガガルーラに141〜169ダメージ
アームハンマーでB110ガオガエンに174〜205ダメージ
・C194サザンドラの悪の波動を最高乱数以外耐え
・最速
★技
アイアンヘッド:フェアリーへの遂行やサンダー、ランドロスの苦手な氷タイプの速い処理。命中安定技。
・思念の頭突き:サイコフィールド込みで最も火力の出る技。鋼の通らない幅広いタイプに等倍で通る。
アームハンマー:苦手なガオガエンヒードランドリュウズなどに。苦手な相手を単体で見る必要はないが、対サナガエンの軸にするため必要。
・守る:普通の攻撃で一撃で落とせないことが多く、Z技や集中が飛んできやすいため。

火力・耐性が共に優秀で、素早さ種族値110で多くのメジャーポケモンの上から圧力をかけられることが売り。
威嚇を恐れずに初手に置ける物理ポケモンであり、メガシンカターンにおいては相手の交替の後に進化する仕様上「蜻蛉返り」など技による交替以外の威嚇を受けないため安定して役割対称を処理できます。
序盤から圧力をかけていく立ち回りも強力ですが、耐性と高い数値により有利な相手にはタイマンでほぼ負けない性質も持っているため後発に残して邪魔な相手を倒すか削るかしてから詰めに出すルートもあります。

しかしながら、上記のように火力が僅かに足りておらず、大ダメージを与えることはできるものの倒しきれずに返しの行動を許してしまいます。
そこで、後述のカプ・テテフと組み合わせます。

高速で怯み技を撃てるため運勝ちを引き寄せることもありますが、アイアンヘッド以外の技の命中が90で、特にアームハンマーは撃つ対象が苦手タイプなので外しが負けに繋がりやすいことが欠点。


カプ・テテフ@拘りスカーフ
★ステータス
159-x-98-200-136-131
サイコショック(フィールド補正)でB90ルンパッパに153〜180ダメージ(13/16で1発)
 同様にB85ウルガモスに159〜189ダメージ(12/16で一撃)(双方砂込み確定1発)
マジカルシャイン(ダブル補正)でD120メガガルーラに58〜69ダメージ
 同様にD110突撃チョッキ持ちガオガエンに42〜51ダメージ
・最速ファイアロー抜き(最速カプ・コケコより遅い)
★技
サイコキネシス:安定した高火力。
サイコショック:上記対象の物理に弱いポケモンを倒すため。
マジカルシャイン:全体に削りを入れることでメガメタグロスの攻撃の圏内に入れる。
ムーンフォースメガボーマンダペルシアンRの一撃処理、追加効果のCダウンを含めてクレセリアなどに撃ちやすい技。

追い風を含む構築であり最初はエスパーZで使用していたのですが、最終的に拘りスカーフで採用しました。これにはいくつかの理由があります。
(1)メガメタグロスの少し足りない火力を先にマジカルシャインで削り圏内に入れるため
(2)メガメタグロスより速い打点(ペルシアンR、ゲッコウガメガボーマンダ、スカーフバンギラスなど)を上から倒すため
(3)高速打点をメガメタグロスに一任すると選出枠が足りないことが多々あるため

(1)に関してはメタグロスカプ・テテフの調整欄に載せたダメージの通り、攻撃を合わせることで多くのポケモンを上から処理できるためです。
メガガルーラは耐久をあまり振っていなければ確定、トリパに多いHPに極振りしている型でも高乱数で落とせます。
このラインの耐久のメジャーポケモンは多く、メガリザードンY(霊獣ランドロスのダブル補正岩雪崩耐え)を思念の頭突き側が最低乱数以外ダウン。
同様にカプ・レヒレや耐久サンダーも先にマジカルシャインが入るため木の実を発動させずに倒せます(サンダーは余程Bに振ってなければ確定、レヒレはH振りだけなら超高乱数)。

(2)は、サンダーの追い風を頼りにしていると立ち回りがかなり窮屈になってしまうため対策に。メガボーマンダ自体は攻撃タイプ的には有利なのですが、カプZのカプ・コケコと合わせられると非常に厄介なためS操作無しで上から倒せるポケモンがほしいです。

(3)の具体例として、対エルフーンテラキオン構築があります。この場合は初手でテラキオンを上から潰せるポケモン+追い風対策を置く必要がありますが、大抵裏にリザードン、霊獣ランドロスギルガルド、カプ・コケコあたりが控えていることが多く、メタグロス+サンダーを初手に置くと裏にバンギラスランドロスが必要になり、そうなるとカプ・テテフが選出できないためサンダーのサイコシードが発動しないことやメタグロスの火力を上げられないことで初手にリザードンを出されるパターンに対処できなくなったり、エレキフィールドを消せずにカプ・コケコに圧力をかけられるといった問題があります。そこでテラキオンを上から縛る役割をカプ・テテフにも持たせることである程度柔軟に立ち回れるようになります。
選出枠の不足とはまた別問題ですが、ウルガモスと初手で対峙した際にも蝶舞とスカーフ両方を警戒しなければいけませんが、サイコショック持ちのスカーフテテフならウルガモスのスカーフをケアしながら蝶舞型の上から殴ることができます。

拘りスカーフを持たせていますが、素早さは最速にせずにカプ・コケコより遅いラインに設定し、対面してもフィールドを取れるようにしてあります。
そうしないと、コケコ入りの構築に対して初手に出し辛く、エレキフィールド下では10万ボルトZでメガメタグロスも縛られてしまうためといった点。
また、拘りスカーフを持たせるなら相手のスカーフランドロスを確実に抜くため最速にしてこそ価値があると思いますが、Cに補正をかけないと仮想敵への火力が足りず、中途半端なことになるくらいならSを振らずに耐久を上げて交替出しもしやすくしたほうが動きやすいと思いました。
初手でコケコと対面した場合に相手は拘りスカーフの可能性を捨てやすいことでミスを誘える点も強みです。
稀に控えめのコケコがいますが、このテテフの採用理由にもある通り、S182〜200には強力なポケモンが多いことや、そもそも控えめなら採用理由は最後の一掃役が多く先発にはあまり出てこないのではないかと思い切っています。とはいえ先制できればそこまで不利になるわけでもないので大丈夫ですが。

技に関して、採用した4つの技以外にもシャドーボールが欲しくもありました。持っていればギルガルドや、スカーフを生かして相手のメガメタグロスを削ることができるのですが、削ったところで1ターンの集中で落とせる並びを作れないことや、シャドーボールで拘ってしまうと特定の相手以外にとても弱く隙になりやすいと判断し、それよりも採用価値が高いと踏んだ現在の4つの技を選びました。


サンダー@サイコシード
★ステータス
197-x-113-160-120-135
・10万ボルトでH204-D168テッカグヤに98〜116ダメージ(15/16で2発)
 同様にH177-D150カプ・レヒレに対し110〜132、D225(D+1)に対し74〜90ダメージ
 (瞑想前は確実に半回復の実を発動させずに、積まれても2発目で確定で落とせる)
・D+1でC200カプ・テテフサイコキネシスZ(フィールド補正)を確定耐え
・最速70族抜き
★技
・10万ボルト:安定した火力で役割対象を倒したり色々削りを入れたり。
・熱風:テテフグロスの苦手な鋼への打点、特にカミツルギナットレイの処理。
・追い風:テテフグロス以上の素早さのポケモンや、相手の追い風に対抗するために。
・羽休め:追い風後も居座るため。サイコシードでDを上げて詰みに持っていける相手は多い。

カプ・テテフが呼ぶ鋼タイプやカプ・レヒレにとても強く、攻撃範囲の相性も良いです。
役割対称のカプ・レヒレに瞑想を積まれようが確実に勝つため、ギルガルドと打ち合うためにもサイコシードを持たせています。
また、長く居座れるようにすることで、相手のテッカグヤを処理する前にサンダーが倒されてしまうといった事態も少なくなります。
ここまでDが高いとメガリザードンYを前にしてもある程度の余裕をもって動くことが出来ます。

シードを持っていますが、発動せずとも高い数値を持っているため必ずしも初手にテテフと合わせる必要はなく、サンダーを後発から投げる動きも耐性や特性の静電気もあって強力で、初手サンダーランドロスでランドロス側からテテフを投げることで物理特殊両方を伸ばすこともできます。特にカプ・レヒレ入りのガルーラスタンを相手にするときはサイコフィールドを取るためと、ガルーラ、ランドロスヒードランを牽制するために後者の動きをすることが多いですね。

配分の素早さの調整先ですが、現環境で最速70族はあまり印象がありませんが、少し下にメガカメックスや、こちら追い風中のスカーフカミツルギなど絶対に抜いておきたいポケモンがいたためこの数値となっています。
技は目覚めるパワー氷も候補ではありますが、撃つ1番の対象であるランドロスは岩雪崩の怯み以外特に困る印象もない(実際それが困るが)ので役割を意識した熱風にしました。
特性は静電気のメリットというよりは、プレッシャーだとよく一緒に並べる味方のテテフとランドロスとのS関係を教えてしまうデメリットを嫌い静電気です。

初手に出した場合は追い風を貼った後に隣の攻撃範囲を補強しながらずっと羽休めで居座っていることが多く、それが普通に強力です。


ランドロス霊獣@突撃チョッキ
★ステータス
175-179-111-x-108-157
地震(ダブル補正)でH146-B105カプ・コケコを確定1発
 同様にH185-B81ドリュウズを確定1発
・最速
★技
・岩雪崩:岩技は特定の相手を意識するならストーンエッジ、岩石封じも強力だが、雑に撃てる岩雪崩が最も勝率が高い。
地震:一致技、サンダー以外の隣で撃ち辛いため拘っていないので気にならない。
・叩き落とす:せっかくチョッキでクレセリアの前で居座れるため木の実を落としたい。また、カビゴン対策にも。
・馬鹿力:対ガルーラやバンギラス地震を撃てないタイミングでのヒードランへの打点

全国ダブルのスタンダード構築において採用しない理由のほうが難しく、この構築においても他のポケモンとの補完性能は高いです。
長く柔軟に立ち回れるようにするため持ち物は突撃チョッキ。

配分はウルガモスのC+1ホノオZを耐えるくらいかなりHDに寄せたものも視野でしたが、砂ドリュウズに対し追い風の後に確実に先制するためや、多発するランドロスミラーで少しでも有利になるため最速は切れませんでした。
最速であることで、最速ではないガルーラやリザードンに対しかなり立ち回りが楽にもなります。
あとは最低限自分のサンダーより速くしておかないと同一ターンに地震と羽休めができません。
それでも少しでも耐久が欲しかったため、火力を最低限必要なラインまで落として残りを耐久に振りました。

威嚇だけでなく地面飛行という複合タイプで電気と地面のZ技を透かせることができ、交替を匂わせるだけでも効果があるため、出来るだけ場に留まらせずに後発に控えておくようにしたいです。


バンギラス@アクZ
★ステータス
207-188-131-x-122-95
・A197メガメタグロスアイアンヘッドを15/16耐え
・C156ルンパッパのハイドロポンプZを砂時確定耐え
・追い風時最速120族(メガボーマンダ)抜き
★技
・岩雪崩:タイプ一致で火力は高く、追い風時の制圧力は高い。
・噛み砕く:Zとして使用し役割対象であるギルガルドメタグロスの処理、交替されてもほぼ通る強力な技。
・桁繰り:相手のバンギラスヒードランを倒すため。
・守る:相性関係がハッキリしていることや、対雨では大事に使いたいため必要。

テテフグロスで1番の課題であるギルガルドのゴーストZを安全に受け出ししながら素早く処理できてかつ、晴れ雨に立ち向かうためにはバンギラスしかいませんでした。
晴れはサイコシードサンダーで不利ではないですが、取り巻きによくいるギルガルドの処理と味方の負担軽減を同時に行える点はとても魅力的です。
ギルガルドを一撃で倒すためと、キングシールドを恐れずに攻撃するために持ち物はアクZ。悪技の通りが非常に良いため、交替されたとしても後続に大きな負担をかけやすいです。

配分はギルガルドに繰り出すことが最重要で、よく見るバンギラスドリュウズメガボーマンダギルガルドの並びに出して活躍しやすくするためと、S種族値がほぼ同じギルガルドに先制できるようにSを95まで伸ばし、雨と戦うことも意識して耐久を調整しました。
最遅100族のSは94であるためトリックルーム軸と戦うときは若干の不安が残りますが、それでもモロバレルと並べれば殆ど問題ないため気になったことはありませんでした。

耐性と攻撃範囲の補完が素晴らしいため、基本4匹の1匹を外して選出することがかなり多かったように感じます。


モロバレル@ウタンの実
★ステータス
219-x-105-105-132-32
エナジーボールで176-120メガラグラージが確定1発
・最遅30族+1
★技
・キノコの胞子:トリックルームを凌ぐため。フィールドが邪魔でもテテフで上書きしながら撃てばいい。
・怒りの粉:テテフやバンギラスなど縛られやすい高打点を通すため。
エナジーボール:草打点は必要で、特にメガラグラージに対しギガドレインでは低乱数1発なのでこちらを採用。
クリアスモッグ:対ラッキー等コンボ系、太鼓暗示のピンポイントメタ。たまに瞑想レヒレにも効く。

5匹で足りない穴を埋めるための完全な補完という位置づけにしました。
雨を見るためにはトリトドンが使いやすいですが、トリトドンでは相手に負担をかけ辛くトリックルーム耐性が高いとは言えず、天候を奪うバンギラスがいれば単純な水耐性でも戦えると判断しました。

持ち物は、トリックルームをメタるために出す上でクレセリアのZを含む攻撃を軽減することや、テテフグロスミラーのキーとするためウタンの実を持たせました。
正直、ガルーラの攻撃を吸うために選出することはほぼないためゴツゴツメットの必要性はナシ。回復系の木の実も候補でしたが、長生きすることよりも役割を果たせずに即死することを嫌いました。
テテフグロスミラーでは軽視されることが多く、周りのポケモンモロバレルを倒すことに時間がかかってしまったり、対面してもウタンのおかげで突っ張ることができ、相手視点だとヤンキープレイに見えることもあり刺さります。このあたり僕が半減実を好む1番の要因ですね。

配分は特に明確な調整先が思いつかず、雨に対し出すことも多いことからDに厚くしました。
Sの意図はカビゴンと同速だとクリアスモッグを腹太鼓に合わせるタイミングが難しくなるからです(1敗)。


■総括■
WCS以降それほどモチベーションが上がらず、レーティングバトルは殆どしませんでしたが、5月頃から今まで机上でテテフグロスをじっくり煮詰めてきました。
地方のオフとはいえ3連覇できたこともあり、自分の考えは間違っていないと証明することもできたので満足です。
(一応レートも最終日付近に少し潜って16勝1敗の1766でした。)

選出・立ち回りについても書こうと思ってはいたのですが文章にするのが非常に難しく、気付いたら明日ウルトラサンムーンが発売するため諦めました。
対雨は一見辛そうに見えるかもしれませんが、雨降らし役とエースの種類や数によってほぼパターン化してあり勝率はかなり高いです(そもそも対戦数が少ないから一度も落としてないかもしれない)。
また、構築で差を付け辛いテテフグロスミラーも取り巻きによって細かく組んであるので自信はあります。
新作発売後は特にコードネームBURST?のウルトラビーストによってテテフグロスは辛い印象を受けますが、それでも活躍できるようならいつか書きたいと思います。

レートが嫌いなので新作が発売しても相変わらずあまり対戦はしないと思いますが、WCS2018は自分の好きな全国ダブルルールであるので、強い構築を作れるようじっくり考えていくつもりなのでまたよろしくお願いします。